水族館プロデューサー・中村元さんおすすめ“水塊”7選その0

水族館プロデューサー・中村元さんおすすめ“水塊”7選

2019-06-28
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身近に涼しさと癒しをもたらしてくれる人気のスポット、水族館。世界の水族館約500館のうち、100館以上が日本にあるというから驚きです。これまでさまざまな水族館をプロデュースしてきた中村元さんによれば、今や子どもだけでなく、多くの大人が進化した展示に魅了されているといいます。「連載初回となる今回は、大人におすすめの美しい“水塊”が魅力の水族館をご紹介します。この夏、必ず水族館に足を運びたくなりますよ。」

Text&Photo:中村元(水族館プロデューサー)

キーワードは“水塊”。水族館の見どころは水中世界の浮遊感

水族館の楽しみ方をひと言でいえば、“水塊”に尽きます。水塊とは、海や川の立体的な奥行や、浮遊感、清涼感、躍動感など水中世界をそのまま水の塊にして水族館に持ってきた、リアル感あふれる展示のことです。

全国の最新水族館には、一目で心を奪われる「水塊の逸品」とでも言うべき、並外れて優れた水塊展示があるんです。今までの常識を一変させるような展示なのはもちろん、眺めているだけで時間を忘れてしまうほどに美しく、好奇心が持ち上がる水塊。今回は、そんな水塊ひとつを見るためだけにでも、遠出する価値のある全国の特別な展示を7つご紹介します。

①高層ビルならでは! 天空のペンギン「サンシャイン水族館」(東京都)

①高層ビルならでは! 天空のペンギン「サンシャイン水族館」(東京都)
天空のペンギン

2017年にリニューアルしたサンシャイン水族館の屋外エリア「マリンガーデン」。高層ビルの屋上にある唯一の水族館であることを活かした展示「天空のペンギン」は、青空を借景にすることで、ペンギンが自由に飛び回る青く広い海を再現することをねらいました。おかげで奥行き感も浮遊感も最新、最高の水塊! まさしく“天空のオアシス“です。

水族館プロデューサー・中村元さんおすすめ“水塊”7選その3
サンシャインラグーン

サンシャイン水族館の展示は、展示スタッフから提案された遠近法を取り入れることで、新たな水塊技術を開発できた場所でもあります。こちらはメイン水槽である「サンシャインラグーン」。どこまでも広がる白砂とサンゴ礁、コバルトブルーのグラデーションに気分は一気に南の海。「水槽」のイメージを覆す奥行きに圧倒されること間違いなしです。

◆サンシャイン水族館
東京都豊島区東池袋3-1 ワールドインポートマートビル 屋上

②圧倒的な浮遊感で癒し効果はダントツ「鶴岡市立加茂水族館」(山形県)

②圧倒的な浮遊感で癒し効果はダントツ「鶴岡市立加茂水族館」(山形県)
クラゲドリームシアター

たかがクラゲ、されどクラゲ。直径5mの巨大水槽に数え切れないミズクラゲが優雅に浮遊しているのは鶴岡市立加茂水族館の「クラゲドリームシアター」。水槽の前に立てば、もう目を離せません。圧倒的な浮遊感で、クラゲ水槽での水塊度は世界一。見ているうちに身も心も緊張から解き放たれて、たっぷり癒されます。

◆鶴岡市立加茂水族館
山形県鶴岡市今泉大久保657-1

③リアルな自然を切り取る水槽「アクアマリンふくしま」(福島県)

サンゴ礁の海

サンゴ礁の海の水槽は数あれど、これほど印象的な展示は他にありません。アクアマリンふくしまの「サンゴ礁の海」では、サンゴ礁の谷間をキンメモドキの大群が渦巻き、刻々と形を変える群れの姿を上空から射し込む太陽がキラキラと輝かせる最高傑作。幻想的な姿に思わず目を奪われます。
同じ水槽の底にはチンアナゴが群れをなして身体を揺らしていて、共生する自然の姿を見事に再現しています。

◆アクアマリンふくしま
福島県いわき市小名浜辰巳町50

④臨場感に圧倒される磯波水槽「マリンワールド海の中道」(福岡県)

玄界灘水槽

ド~ン! 頭上で砕ける大波の爆発音。その瞬間に巨大な気泡の塊が押し寄せ、一気に暗転。やがて射す光の中、魚たちが何ごともなかったかのように集まってきます。荒波で有名な玄界灘を忠実に再現した、マリンワールド海の中道の「玄界灘水槽」は、一連の明暗劇により一気に異世界に連れていってくれます。

◆マリンワールド海の中道
福岡県福岡市東区西戸崎18-28

⑤世界で唯一! 凍る水槽「北の大地の水族館」(北海道)

北の大地の四季

北海道の水族館ならでは、季節の光景に合わせて美しく流れる川の水槽「北の大地の四季」では、例年1~2月頃の厳寒期のおよそ1ヶ月にわたり水面が凍り、その氷の下で魚が春を待つ様子を見ることができます。北海道でも指折りの寒さの厳しい町、という弱点を長所に見立てることで生まれた斬新な展示法です。北の大地の水族館には滝壺を水中から眺める水槽もあって、いずれも世界初の幻想的な水塊景観です。

◆北の大地の水族館
北海道北見市留辺蘂町松山1-4

⑥うねる激流を泳ぐ川魚の躍動感「マリホ水族館」(広島県)

うねる渓流の森

マリホ水族館のテーマは“生きている水塊”は「魚だけを展示するのではなく水景そのものも見せることで、魚の生きざままで展示する」という展示哲学を表しています。その代表がこちら、渓流のうねる激流を再現し、そこに暮らすゴギ(イワナ)の生態を展示した世界初の水塊「うねる渓流の森」です。波打ち、流れる水の中で生きる姿は、清涼感と躍動感に巻き込まれるようです。

◆マリホ水族館
広島県広島市西区観音新町4-14-35

⑦まるでひとつの生き物みたい! 躍動のパフォーマンス「名古屋港水族館」(愛知県)

マイワシ・トルネード

約5分間のパフォーマンスプログラムですが、2万匹ものマイワシが巨大銀屏風のごとく躍動する景観には、感動すること間違いなし。全国の水族館で真似されたにも関わらず、それでも日本一の大きさと美しさを誇っています。怪しも美しく光る姿に魅了されてみては。

◆名古屋港水族館
名古屋市港区港町1番3号

おわりに

いかがでしたか。水族館のイメージがガラリと変わった、という人も多いのでは。

「まるで水の中にいるかのような浮遊感や清涼感、その中に生きる命の姿、それらを目の前にすると、不思議と満たされた気持ちになるんです。ぜひこの夏は水族館に足を運んで、お気に入りの水塊を見つけてみてください。」(中村)

最新刊『中村元の全国水族館ガイド125』(講談社)

◆中村元(なかむら・はじめ)
サンシャイン水族館の「天空のペンギン」水槽をはじめ、新江の島水族館やマリホ水族館などさまざまな水族館をプロデュースし、大胆で個性的な展示で人気水族館を誕生させてきた水族館のプロ。現在国内の複数の水族館でアドバイザーを務める。2019年6月4日に発売された『中村元の全国水族館ガイド125』(講談社)では全館を自らの足で訪問取材し、各水族館の見どころや楽しみ方を紹介。「水塊」という独自の表現で癒しと好奇心をもたらす展示の秘密を解き明かす。
 

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