今行くべき! 山形・酒田で昭和中期が見えてくる、愛しいスポットたち

山形県

2019.11.19

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今行くべき! 山形・酒田で昭和中期が見えてくる、愛しいスポットたち

この夏、ジェットスター航空の成田~庄内路線の就航により、山形県北部がぐっと身近な場所になりました。空港からバスで40分程の場所にある山形県酒田市は、古くは平安時代から栄え、江戸時代には北海道と大阪を結ぶ船の往来で賑わった歴史ある港町。度々映画やドラマのロケ地にもなっていますが、今回はまた違った魅力がある「昭和中期の雰囲気を感じる場所」をご紹介します。

Text&Photo: 西村依莉

目次

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昔から続く喫茶店で体感! フルーツ王国酒田

凸凹コンクリート建築がかっこいい中通り商店街の裏側

「ケルン」オリジナルの美しいカクテル「雪国」を楽しむ

イベント会場&バーとして生まれ変わった東北最後のキャバレー

おわりに

昔から続く喫茶店で体感! フルーツ王国酒田

農産物も海産物も、とにかく豊かな酒田の食事情。梨や柿をはじめ、年中様々なフルーツも獲れるとあって、街中にはたくさん果物屋さんがあります。酒田駅近くにある果物屋さんは看板がかわいいのでぜひ見てほしい。そしてそんな地元のフルーツを食べるなら、街の喫茶店で。

「楡(にれ)の木」と「山茶花(さざんか)」は隣り合う、1970年代から続く喫茶店。「楡の木」が禁煙、「山茶花」が喫煙可という棲み分けがあるそうですが、どちらのフルーツパフェも絶品なのです。筆者は迷わずハシゴパフェしました。

「楡の木」のフルーツパフェ(800円)は、メロンシロップと散りばめたレーズンがかわいらしい。80歳のママさんが生クリームが苦手とあって、アイスクリームとフルーツのみで構成されたシンプルだけど贅沢な内容です。底のほうまで刻んだフルーツがたっぷり。

こちらは「山茶花」のフルーツパフェ(900円)。美しい飾り切りに盛りだくさんのフルーツでボリューム満点。中のアイスクリームは、この日はたまたまバニラアイスが少なかったため、抹茶とのコンビでした。1973年から続けているこちらは夜遅くまで営業しているので、夕食後のデザートやコーヒーがほしい時にぴったりです。


◆ 楡の木
住所:山形県酒田市中町1-14-27
電話番号:0234-23-3434
営業時間:8:30〜18:00
定休日:元旦

◆ 山茶花
住所:酒田市中町1-14-26
電話番号:0234-24-1691
営業時間:9:00〜23:00(22:00で閉めることも多いので電話で確認を)
定休日:不定休

凸凹コンクリート建築がかっこいい中通り商店街の裏側

凸凹コンクリート建築がかっこいい中通り商店街の裏側

街の中心部には百貨店や商店街があるのですが、1本外れた通りを歩いてみると、2階建てと3階建ての建物が交互に連なっていて、非常にかっこいい。

中通り商店街は、雪国にもかかわらずアーケードのない商店街。これは、1976年に起きた酒田大火からの復興の際に行った防火対策の一環。アーケードを作らず、道幅を広く取り、歩道に庇(ひさし)を設置しました。そのため抜け感が心地よく、ゆったりとした雰囲気が漂っています。

そんな商店街の裏側が、まさかこんなインダストリアルな建物が連なっているなんて、そのギャップもまたたまりません。突き出した3階部分と外階段が迫力あるアクセントになっています。

「ケルン」オリジナルの美しいカクテル「雪国」を楽しむ

「ケルン」オリジナルの美しいカクテル「雪国」を楽しむ

「ケルン」は1955年に創業した、昼間は喫茶店、夜はバーとして営業している店。今年初めに公開されたドキュメンタリー映画『YUKIGUNI』は、この店の伝説のバーテン・井山計一さん(御歳93歳!)の半生を描いた作品。ご高齢のため、毎日お店にいるわけではありませんが、タイミングがよければ伝説のバーテンダーが作る名カクテルを楽しめるかもしれません。

そんな名バーテンダーが生み出したオリジナルカクテル「雪国」(900円)は、グラスを縁取る砂糖が雪景色を連想させるすてきな一杯。見た目のかわいらしさとは裏腹に、ウォッカベースの強めのカクテルです。おせんべいなどのスナックがたくさんついてくるのも嬉しい。

「青いリンゴ」(900円)は、NHKの番組に出演した際、ゲストの野口五郎さんのヒット曲にちなんで作ったカクテル。雪国よりもアルコール度数が低めで、お酒があまり強くない人も飲みやすいと思います。


◆ ケルン
住所:酒田市中町2-4-20
電話番号:0234-23-0128
営業時間:10:00〜17:00、19:00〜22:30(バータイムは19:00から)
定休日:不定休 夜は月火曜日休み

イベント会場&バーとして生まれ変わった東北最後のキャバレー

イベント会場&バーとして生まれ変わった東北最後のキャバレー

酒田市では3年前までキャバレーが現役営業していました。豪雪地帯で南への憧れが強いのか、南国を思わせる内装が素晴らしく、ここはまさに雪国の楽園。閉店後、この楽園をどうにか残せないかとクラウドファンディングで資金を募り、必要最低限のメンテナンスを経て2年前の12月にイベント会場として再出発を叶えたのです。その辺りの話は、拙書『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』に掲載しているので、ぜひ一読いただけると嬉しいです。

しばらくはイベント会場として運営していた「白ばら」ですが、このたび、バーカウンターとカラオケを設置。イベントがなくても、金曜と土曜は必ずオープンしているので、遊びに行きやすくなっています。

料金システムはチャージ1,000円でカラオケは500円で歌い放題、2時間制の飲み放題・歌い放題なら3,000円(女性グループの場合は、11月中はその半額!太っ腹!)。ネオン輝くステージに立ち、広い客席を前に歌い上げる気持ちよさはぜひ経験してほしいです。
キャバレー壊滅危機の今、なかなかできることではありません。12月30日の2周年にはなにやらビッグイベントも準備中とのことで、年末の過ごし方が決まってない人は、酒田へ遊びに行くのもいいかもしれません。


◆ ナイトスポット 白ばら
住所:酒田市日吉町2-5-3
電話番号:0234-23-2450
営業時間:金・土曜日21:00〜25:00(19:00〜21:00まではカラオケ酒場イベント開催中。また、10名以上の団体であれば、曜日問わず貸切営業可能)

おわりに

酒田市では、無料で観光自転車の貸し出しをしています。複数ある貸し出し所に乗り捨てOKなのでとっても気軽。ドラマ「おしん」や映画「おくりびと」の聖地巡礼をするなら、自転車があるとなお便利。
今回ご紹介した場所は、全て徒歩圏内ですが、自転車を借りたら行動範囲がさらに広がるので、定番の観光スポットも多いこの街を堪能し尽くせますよ。


◆西村依莉(にしむら・えり)
フリーランスの編集者・ライター。東京ビルさんぽメンバー。ファッション誌・ライフスタイル誌を中心に活動しつつ、高度経済成長期のステキな建築や街の風景を日々記録している。グラフィック社から『足の下のステキな床』『キャバレー、ダンスホール 20世紀の夜』(共著)、大福書林から『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』(東京ビルさんぽ)が発売中。

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