焼酎のラベルも作品の一部! 織物アーティスト・鬼原美希が作品に込めた「世界の歩き方」【後編】~東・西ヨーロッパetc.~その0

焼酎のラベルも作品の一部! 織物アーティスト・鬼原美希が作品に込めた「世界の歩き方」【後編】~東・西ヨーロッパetc.~

2020-07-31
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いま最もユニークなカタチで旅の思い出を紡ぐ織物アーティスト・鬼原美希さん。2015年より「たびするおりびと」として、世界一周の旅で受けた衝撃を、自画像とともにタペストリーで織り込んできた彼女の作品をご紹介。後編は東・西ヨーロッパのほか、あの南の島も巡ります。

【前編】~北・南ヨーロッパ~はこちら

チョコレートの包み紙とお土産の袋/サンクトペテルブルク(ロシア)

チョコレートの包み紙とお土産の袋/サンクトペテルブルク(ロシア)
ロシア西部に位置する観光都市サンクトペテルブルク。ここはかつてロシア帝国の首都だったこともあり、芸術が発達しました。世界三大美術館のエルミタージュ美術館をはじめ、芸術と歴史の宝庫なのです。
焼酎のラベルも作品の一部! 織物アーティスト・鬼原美希が作品に込めた「世界の歩き方」【後編】~東・西ヨーロッパetc.~その2
▲「エルミタージュ美術館へ行く道中に買った、お土産のマトリョーシカがモチーフです」
焼酎のラベルも作品の一部! 織物アーティスト・鬼原美希が作品に込めた「世界の歩き方」【後編】~東・西ヨーロッパetc.~その3
「念願だったエルミタージュ美術館へ。その道中に購入したチョコレートのキラキラした宝石のような包み紙と、お土産のマトリョーシカを入れてもらった袋を作品の素材としました。その後バスでマトリョーシカを並べて遊んでいたら、いつの間にか中身の2体だけ消えてしまい、よく探したんですが結局見つからず…。あの2体は家族から離れてもロシアに残ることを選んだんだな、と考えるようにしました(笑) 」

トイレットペーパーと紙タオルとお城の入場券/グダニスク(ポーランド)

トイレットペーパーと紙タオルとお城の入場券/グダニスク(ポーランド)
バルト海に面するポーランド最大の港湾都市・グダニスク。ルネサンス、ゴシック、バロックといった各時代の建築物で埋め尽くされた旧市街や、ドイツ騎士団が13世紀に建造した世界遺産・マルボルク城が有名です。
▲「要塞として使われていたお城だけに、城内はとにかく広くて、歩き疲れました。その帰り道に食べたTボーンステーキがおいしくて! 満面の笑みの作品になりました」
「マルボルク城付近にある、アンティークの機織り機やミシンを飾っているバーにも立ち寄りました。そこに置いてあったトイレットペーパーと紙タオルを持ち帰って、マルボルク城の入場券と一緒に織り込みました」

万華鏡が入っていた袋/ル・アーブル(フランス)

セーヌ川河口の港町、ル・アーブル。大西洋に面したノルマンディー地方・第2の港で、実は大阪港の姉妹港です。印象派の画家、クロード・モネの出身地でもあるこの街からは、“西洋の驚異”と称される修道院・モンサンミッシェルへ行くことができます。
▲「モンサンミッシェルのステンドグラスを、ドレスのように身に纏ったイメージです」
「モンサンミッシェルはかつて牢獄として使われ、その後修道院となったそう。巨大な建物の中には、淡い色合いで控えめだけれど美しいステンドグラスがありました。素材には、修道院内のお土産屋さんで買った万華鏡の袋を選びました」

ポテトチップスの袋/ホノルル(ハワイイ)

日本にも多くのファンがいる常夏の楽園・ハワイ。オアフ島南部に位置するホノルルは、政治や経済の中心を担っています。巨大ショッピングセンターや高級ホテルなどが集まる世界有数のビーチリゾートですが、それでもどこかゆったりした気分が味わえるのは、温暖でカラッとした気候と穏やかな人々のおかげかもしれません。
▲「ホノルルではワイキキビーチ、ハナウマ湾、ホノルル動物園に行ってみました」
「行く先々で出会う人々はみな陽気で優しくて、おおらか! ビーチを愛し、自然を愛し、アロハの精神を大切にしているんだなと感じました。商店に売っているものにもことごとく海が関係していて、ポテトチップスの袋にさえビーチの絵が描かれていたのが印象的だったので、その袋を織り込みました」

胡麻で染めた繊維や黒糖焼酎ラベルなど/喜界島(鹿児島県)

今回の締めくくりは日本。鹿児島の南、約380km沖に浮かぶ奄美大島からさらに約25kmに位置する喜界島(きかいじま)。ほとんどがサンゴを起源とする石灰岩でできている、世界的にも珍しい島です。年間を通して温暖なので、ハイビスカスやブーゲンビリアなどの熱帯の花を求めて、美しい蝶が飛び交うことでも有名です。
▲「オオゴマダラの生態を知ったときに、とても共感しました」
「オオゴマダラは、喜界島に生息する蝶。島で金のサナギから生まれて全国を旅し、また島に帰って来ます。私もこの島を旅したとき、ずっと帰りたかった場所に帰って来れたような気持ちになりました。島のそらまめ、胡麻などの植物で染めた繊維や胡麻を干すときに使う網、黒糖焼酎ラベルなど、現地で出会った人々から頂いた素材を使ってオオゴマダラを織り上げました」

すべての作品を手掛けた鬼原美希さんとは…

鬼原美希さんは1986年千葉県生まれで、2012年多摩美術大学大学院テキスタイルデザイン領域を修了しました。儚くも激しい煌めきをたたえた一瞬を、自らをモチーフとして「つづれ織り」の技法によって表現。国内外での展覧会に加え、病院などの空間や結婚式などのウェルカムボードなど、オーダーメイドのタペストリーの制作受注も行っています。
「つづれ織りの作家として活動するアーティストはまだ少ないですが、藤野靖子さんと桂川幸助さんのお二人が代表的かと思います。Instagramを見ていると、最近は海外のアーティストが制作過程を早回しで撮っている投稿が人気のようですね」


▼今後の予定は以下の通り
2020年11月、東京のORIE ART GALLERYにて『オリエ30cm×30cm アート展「Rich Seasons II」』を開催予定

※イベントが急遽中止・延期になる可能性があります。お出かけの際は事前に公式サイト等で確認してください。

おわりに

今回は、織物アーティスト・鬼原美希さんが東・西ヨーロッパやハワイ、日本の喜界島を旅した5作品をご紹介しました。各地での思い出を綴った鬼原さんの作品を見ていると、次の旅行を計画せずにはいられませんね。今からワクワクするような旅の準備を始めてみませんか?

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