カレーを求めて純喫茶へ。難波里奈さん厳選・都内3店【連載vol.2】その0

カレーを求めて純喫茶へ。難波里奈さん厳選・都内3店【連載vol.2】

2019-12-23
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みなさまは純喫茶を訪れたとき、何を召し上がることが多いでしょうか? ケチャップがよく絡んだナポリタン? 綺麗な色の卵焼きに包まれたオムライス? それとも、宝石のように美しいプリン・ア・ラ・モード? ほかにも、タマゴサンド、バタートースト、クリームソーダなど……目移りしてしまうメニューが純喫茶にはたくさん並んでいて、訪れる度に心が躍ります。そんななか、多くの人たちの心を掴んで離さないメニューの代表として君臨しているのが、カレー。「カレー」と一口にいっても、作る人の数だけそのこだわりや味わいがあり、いろいろなお店で食べ比べをしてみるのも楽しいものです。今回は、おいしいカレーが食べられる3軒の純喫茶を紹介します。

Text&Photo:難波里奈(東京喫茶店研究所二代目所長)

名店に影響を受けたじゃがいもごろごろカレー「喫茶ルオー」(本郷三丁目)

名店に影響を受けたじゃがいもごろごろカレー「喫茶ルオー」(本郷三丁目)
1軒目は、本郷三丁目駅から歩いてすぐ、東京大学赤門通りに面している「ルオー」。昭和27年に画廊喫茶として始まり、当時は中庭に池があるほど広い店内だったとか。現在は、2階建ての大きな窓から四季折々の自然を眺められる空間が特徴的です。
カレーを求めて純喫茶へ。難波里奈さん厳選・都内3店【連載vol.2】その2
来店した人たちの8割ほどが注文するという看板メニューの「セイロン風カレー」とは、イギリスの家庭風カレーを指すそう。かつて本郷にあったカレーの老舗「新宿中村屋」のカレーに感銘を受けたマスターが試行錯誤して作り出した味です。60年以上変わらないレシピは、バターでよく炒めたしょうがとにんにく、野菜たちを、小麦粉とカレー粉をスープに入れて濾したものと混ぜ合わせて煮込むのだそう。ほろほろと崩れるやわらかいお肉とごろっとしたじゃがいもは食べごたえ抜群。食後についてくるコーヒーですっきりするのもよし、ウェハースの添えられたバニラアイスクリームで口直しをするのもおすすめです。
カレーを求めて純喫茶へ。難波里奈さん厳選・都内3店【連載vol.2】その3
椅子の背もたれに彫られたコーヒーカップは、可愛らしくてつい指で撫でたくなりませんか? 創業当時のメニューからも歴史を感じます。

学生の多い街には良い純喫茶がある、という持論が証明されたお店でした。


◆喫茶ルオー
住所:東京都文京区本郷6-1-14
電話:03-3811-1808
営業時間:月~金曜日9:30~20:00、土曜日9:30~17:00
定休日:日曜日・祝日

カレーの聖地で時代を超えて愛され続けるひと皿「喫茶プペ」(竹橋)

カレーの聖地で時代を超えて愛され続けるひと皿「喫茶プペ」(竹橋)
続いては、神田錦町のオフィス街にある「喫茶プペ」。竹橋駅から徒歩約10分、神保町駅から歩いて15分ほどのところにあります。
二代目店長の原直樹さんは「今ではここだけすっかり昭和に取り残されちゃって…」と謙遜されますが、1970年の創業当時、この辺りでは喫茶店の先駆け的存在だったことでも知られています。
テーブルに運ばれてきたお皿の中には、お肉がごろごろ入った欧風のルウがたっぷりとご飯にかかり、さらに上にはサービスの目玉焼き。平日のランチタイムは飲み物、土曜日はサラダと飲み物がついて1,000円以下というお手頃価格もうれしいポイントです。一口食べてみると、広がるのはあまい果実の香り。その秘密を聞いてみると、質の良いりんごを大量にすりおろしたものが隠し味として入っているそうです。「長い間引き継いできたレシピなので、これからも変えることなく、素材にこだわって一つ一つの作業を丁寧に。もっとおいしくなるためには、と常に考えています」と大切に守られてきたカレーは時代の枠を飛び越えた深みのある味わいです。
「神田カレーグランプリ」が毎年開催されることからも分かるように、神田・御茶ノ水界隈はカレーの聖地。カレーを食べられるお店が400店以上もあるそうです。「神保町など書店の多い街にカレー屋が多いのは、片手で食べられるから、と聞いたことがあります」と原店長が話す理由にも納得です。


◆喫茶プペ
住所:東京都千代田区神田錦町3-13-11
電話:03-3295-9746
営業時間:月~金曜日7:00~18:00(LO17:00)、土曜日11:00~14:00(LO13:30)
定休日:日曜日・祝日・年末年始 ※土曜日臨時休業の場合あり

香ばしいパンとカレーの組み合わせが絶品「伴茶夢」(目白)

最後は少し趣向を変え、「パンカレー」を目指して目白へ。駅からおよそ100m、お店への階段を下る前に視界に飛び込んでくるのは、魅力的なメニューサンプルが並ぶガラスケース。1977年の創業、「伴茶夢(ばんちゃむ)」の店名の由来は、アラビア人が珈琲豆を「バン」と呼び、その飲物を「バンチャム」と言ったことから漢字を当てて『伴茶夢のコーヒーを飲みながら、楽しく共に夢を語りあっていただきたい』という願いを込めて名付けられたそうです。
こちらを訪れたらぜひ注文してほしいメニュー「パンカレー」は、10年ほど前に常連客がカレーライスを大盛りで頼んだ後、トーストを追加注文して残ったカレーにつけて食べている様子を見たことがきっかけで定番となったもの。お米と食べるカレーもおいしいですが、きつね色に焼けた一口サイズのパンに染み込ませていただくカレーは、相性抜群でクセになる味わい。誰かが注文するとそのおいしそうな香りにつられて思わず自分も食べたくなってしまう魅惑的なメニューです。
微調整のしやすいネル、昔ながらのサイフォン、蒸らしてから濾すボイル方式と3種類もの方法で提供しているこだわりのコーヒーも、ぜひ食後にお楽しみください。


◆伴茶夢
住所:東京都豊島区目白3-14-3 B1F
電話:03-3950-6786
営業時間:8:00~22:30(LO22:00)
定休日:なし

おわりに

文字を見るだけでその香りを思い出してついおなかが空いてしまうカレー。本日はどこかの純喫茶に寄り道して、そのお店ならではのひと皿を食べにいきませんか?



◆難波里奈
日中は会社員、日暮れから東京喫茶店研究所二代目所長として活動中。自身のブログ『純喫茶コレクション』や著書『純喫茶とあまいもの』(誠文堂新光社)、『クリームソーダ 純喫茶めぐり』(グラフィック社)などにて、これまでに訪れた喫茶店を記録している。


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