海女さんからサケの遡上まで!? 水族館プロデューサー・中村元さん推奨“学べる“水族館その0

海女さんからサケの遡上まで!? 水族館プロデューサー・中村元さん推奨“学べる“水族館

2019-09-01
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水族館の展示・解説をしっかりと読み込んだことのある方、どれくらいいるでしょうか。魚の名前や生態に興味を持っても、魚類学や生物学といった難しい解説はなかなか頭に入ってこないですよね。ところが、全国の水族館の中には文系女子にこそ興味を持ってもらいたい、その土地ならではの文化を学べる水族館があるんです。今回はそんなひとクセも、ふたクセもある独特の展示で、自然と学べる水族館を選んでみました。

Text&Photo:中村元(水族館プロデューサー)

①琵琶湖にこだわる日本最大級の淡水水族館「琵琶湖博物館」(滋賀県)

①琵琶湖にこだわる日本最大級の淡水水族館「琵琶湖博物館」(滋賀県)
「琵琶湖博物館」の中の水族展示ゾーンは、淡水水族館としては日本最大級! 琵琶湖水系にこだわった展示が特徴です。深い湖底から琵琶湖を借景にした葦原の美しい水槽など、日本の原風景を思わせる様子が人気を集めています。
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なにより、琵琶湖畔に住む人々の生活へのこだわりがあり、水槽に舟や桟橋があったり、川の水槽には梁漁の仕掛けがあったりとこの土地の文化まで学ぶことができます。さらには滋賀県特有の川魚専門の魚屋さんがリアルなサイズで展示され、なんと鮒寿司の匂いまで嗅ぐことができるんです。

◆琵琶湖博物館
住所:滋賀県草津市下物町1091
電話番号:077-568-4811
営業時間:9:30~17:00(最終入館16:30)
休館日:月曜日(休日の場合は開館)

②スタッフの思いがあふれる展示と解説「竹島水族館」(愛知県)

②スタッフの思いがあふれる展示と解説「竹島水族館」(愛知県)
古い! 小さい! お金が無い!と三拍子揃った老朽弱小水族館ながら、全国に名が通る人気なのが「竹島水族館」。その秘密のひとつは、地元の深海魚漁師さんとスタッフの関係による日本最多の深海生物展示。なかでもタカアシガニの大きさは特筆モノです。
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さらに、他の水族館では珍しい、観覧者が解説を一心に読む光景を見ることができるのも特徴的。奇怪な深海生物の食レポや、魚の立場から書かれた「魚歴書」など、スタッフ手描きの解説が水槽よりも主役になっているほどです。科学的であることよりも、生物への愛情をふくらませてくれる解説が好評で、女性ファンがとても多いんです。

◆竹島水族館
住所:愛知県蒲郡市竹島町1-6 
電話番号:0533-68-2059
営業時間:9:00~17:00
休館日:火曜日、年末

③海女さんを展示する「志摩マリンランド」(三重県)と「もぐらんぴあ水族館」(岩手県)

海女漁が最も盛んな地域である鳥羽・志摩で、その伝統的な海女漁を展示したのが「志摩マリンランド」。本物の海女さんが手縫いの白い海女着と海女用の磯眼鏡姿で水槽に潜ると、海女さん独特の呼吸法・磯笛の音まで聞こえてくる、まさに生きた文化財展示です。
土日・祝日など限定ではありますが、岩手県の「もぐらんぴあ水族館」では“北限の海女”として有名な久慈市の海女と、潜水作業「南部もぐり」の潜水実演を水槽で行っています。いずれもNHKドラマ「あまちゃん」で知られているので、このショー目当ての人も多く訪れます。

◆志摩マリンランド
住所:三重県志摩市阿児町神明723-1
電話番号:0599-43-1225
営業時間:9:00~17:00 ※季節により異なる、最終入館は30分前まで
休館日:年中無休

◆もぐらんぴあ水族館
住所:岩手県久慈市侍浜町麦生1-43-7
電話番号:0194-75-3551
営業時間:9:00~18:00(4~10月)、10:00~16:00(11~3月)※最終入館は30分前まで
休館日:月曜日(休日の場合はその翌日)

④捕鯨の町が発信する日本の伝統漁「太地くじらの博物館」(和歌山県)

「太地(たいじ)くじらの博物館」は太地で盛んだった古式捕鯨から南氷洋での捕鯨まで、捕鯨の歴史や文化が余すこと無く展示される博物館であるとともに、鯨類の展示を中心にした水族館でもあります。クジラの生態学と伝統漁が絡み合うだけでなく、日本人の世界観も展示されているのが特徴です。
こちらは珍しいアルビノのバンドウイルカとスジイルカ。世界でここだけの貴重なイルカたちの展示に加え、屋外の入江を使った広いプールでは大型の鯨類がショーを見せてくれます。

◆太地くじらの博物館
住所:和歌山県東牟婁郡太地町太地2934-2
電話番号:0735-59-2400
営業時間:8:30~17:00
休館日:年中無休

⑤サケの遡上と人の暮らしとを繋ぐサケの水族館

秋に向けて、サケの遡上時期が見どころの水族館をまとめてご紹介。どれも日本人の食や漁業に深く関わる注目の展示です。
「標津(しべつ)サーモン科学館」(北海道)
サケのまち、北海道ならではのサケの水族館。館内に引かれた魚道にサケが遡上してきてジャンプする姿を見ることができます。水族館の隣には標津川に設置されたサケ捕獲用の巨大なウライ(捕獲施設)があり、9月上旬~10月にかけて、押し寄せるサケの大群を観ることもできます。


◆標津サーモン科学館
住所:北海道標津郡標津町北1条西6丁目1番1-1号 標津サーモンパーク内
電話番号:0153-82-1141
営業時間:9:30~17:00(入館受付16:30まで)
休館日:無休(2~4月、11月は水曜日、祝日の場合は翌日休館)

「イヨボヤ会館」(新潟県)
「イヨボヤ」とは新潟県村上市の方言でサケのことです。市内を流れる三面川は、村上藩士が世界で初めてサケの回帰性に着目した持続的漁業を発明した地。そこから始まる産業としての歴史や、サケの食文化など人文学的な要素たっぷりの展示に学ぶことができます。

◆イヨボヤ会館
住所:新潟県村上市塩町13-34
電話番号:0254-52-7117
営業時間:9:00~16:30(最終入館)
休館日:12月28日~1月4日
「サケのふるさと千歳水族館」(北海道)
千歳川の堤防に観察窓が付けられた水中観察室が最大の見どころ。遡上するサケはもちろんのこと、北海道の川の魚たちを一年中観察できます。支笏湖の美しい水中景観を再現した水槽などもあり、見ごたえたっぷりです。

◆サケのふるさと千歳水族館
住所:北海道千歳市花園2丁目312
電話番号:0123-42-3001
営業時間:9:00~17:00
休館日:年末年始

おわりに

いかがでしたか。ひとくちに水族館といっても、その展示方法はさまざま。その土地ならではの環境や文化を取り入れた展示や、スタッフによる趣向を凝らした解説で、他にない見応えと学びを教えてくれます。旅先の観光地選びのひとつに、ぜひ水族館を取り入れてみてください。
◆中村元(なかむら・はじめ)
サンシャイン水族館の「天空のペンギン」水槽をはじめ、新江の島水族館やマリホ水族館などさまざまな水族館をプロデュースし、大胆で個性的な展示で人気水族館を誕生させてきた水族館のプロ。現在国内の複数の水族館でアドバイザーを務める。2019年6月4日に発売された『中村元の全国水族館ガイド125』(講談社)では全館を自らの足で訪問取材し、各水族館の見どころや楽しみ方を紹介。「水塊」という独自の表現で癒しと好奇心をもたらす展示の秘密を解き明かす。

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