台湾で、クオリティの高いパンとコーヒーがどこでも手に入り、気軽に楽しめるようになったのは、実はここ数年のこと。美味しいパンを食べようと思ったら、遠くまで出掛ける必要があった頃、皆が目指したお店のひとつが「Bonjour朋廚烘焙坊」です。今年は20周年のアニバーサリーイヤー。皆に驚きと喜びを与えてきた名店の人気の秘密に迫ります。
日本、フランス、スイスでの修行経験が詰まった自信作。
日々の暮らしにささやかな幸せを運ぶパン。姿は小さくとも秘めたる力は無限大。オーナーの許詠翔氏は、そんなパンの可能性に魅せられたひとりです。パンは幼少時からの大好物で、高校卒業後には、パン作りを学びに日本の東京製菓学校に留学。当初はどこか気軽な心持ちだったのが、その奥深さや日本の職人たちの真摯な態度に触発され、本場フランスのパン業界にも関心を抱くようになり、フランスとスイスで修行を積むに至ります。そして1999年、基隆に「Bonjour朋廚烘焙坊」1号店をオープン。店名の“ボンジュール”は、ご存知のようにフランス語の朝と昼の挨拶の言葉。この一言から始まる1日に、幸せな美食がありますように……との思いが込められているそう。
フランスパンは、素材の質と職人の技量のバロメーター。
現在、3つの路面店とSOGO復興店、誠品書局敦南店の計5つの店舗を展開する「Bonjour朋廚烘焙坊」。20年もの長きに渡り支持されてきたのは「ひとえに、こだわりを貫いてきたことにあります」と、許詠翔氏。「パンの王様と呼ばれるフランスパンの材料は、小麦粉、水、イーストと塩。それだけで独特のフォルム、歯ごたえや食感、味わいを生み出すには、確かな経験と細心の注意が必要で、このプロセスには日本の匠の精神とフランスのセンスが活かされています」。オープン当初から、香料は出来る限り使わず、素材本来の持ち味を生かし、天然素材ならではのおいしさを提供してきた許詠翔氏。たとえ一口目にその素晴らしさが実感できずとも、噛み締めるほどに小麦の香りとうまみが口の中に広がり、夢中になる……そんなパンに出合えるベーカリーが「Bonjour朋廚烘焙坊」を作り上げてきました。
現在、「Bonjour朋廚烘焙坊」には、40数種の手作りフランスパンに加え、ケーキや焼き菓子など、多くの自信作が並びます。そのうっとりするような品揃えを見たならば、どれにしようか迷うこと必至。マストバイは「シーソルトボール」。こちらは上質なオリーブオイルを塗った表面に海塩を振りかけ、パリッと香ばしく焼き上げたフランスパンで、フェンネル、オニオン、ゴマ、バジル、チョコ味がラインナップ。シンプルな生地にそれぞれのフレーバーを絶妙に効かせています。
他にも、ドライフルーツ入りの発酵菓子パン・パットーネ、滑らかな口当たりに癒されるアールグレイプリン、お祝い事にぴったりな旬の果物たっぷりのプリンケーキなど、人気商品が目白押し。創作レシピには、台湾産のヘルシー素材が積極的に使われているのもポイント。タロイモケーキや豆乳の湯種食パンなど、台湾らしさ満点の商品にも、ぜひ注目を。