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【台湾情報】世界でここだけ。物語あるタクシーを集めた博物館が宜蘭の蘇澳地区…
【台湾情報】世界でここだけ。物語あるタクシーを集めた博物館が宜蘭の蘇澳地区に登場
台北から車で約1時間。宜蘭は、週末の気軽なレジャースポットとして人気のエリアです。炭酸冷泉や南方澳漁港などで有名な蘇澳地区を訪れるなら、2019年7月にオープンした新名所「TAXI Museum 計程車博物館」を要チェック! 一個人が約2億1600万円もの費用を投じ、国内外から収集したタクシーの車体や関連アイテムを陳列。唯一無二のタクシー博物館を紹介します。
リノーベーションした工場にタクシーの歴史を詰め込んで。
オープン以来、訪れた人々がこぞってSNSのチェックインポイントとして発信するなど、蘇澳地区で人気上昇中の「TAXI Museum 計程車博物館」。展示スペースとして使われている建物は、51年の歴史を持つ工場。ここに9台のアンティーク車をはじめ、飛行機との接触で大破したタクシーなど、2000点を超えるアイテムが展示されています。
タクシーと同音!名前が引き寄せたタクシーとの不思議な縁。
この博物館を創り上げたのは、李濟成氏。自身の名前の「Ji cheng」と、タクシーを意味する計程(車)「ji cheng(che)」の発音が同じであることが深く関係しています。
「子どもの頃は、タクシー運転手というあだ名をつけられ、不愉快な思いをしたりもしましたね。ところが、20年前にニューヨークに旅行した際、ギフトショップでタクシーのぬいぐるみを見かけたのですが、そのぬいぐるみのナンバープレートの数字が…なんと、私の誕生日だったのです。このとき、自分とタクシーの間には、切っても切れない縁があるのだと思い至り、以来、コレクター道まっしぐらの人生となりました」
かくして、李濟成氏は関連アイテムの収集に励み、ついには6000万元(日本円で約2億1600万円)もの私財を投じ、世界初のタクシー博物館を開館するに至ったのでした。
タクシーは旅のパートナー。その存在意義を広く伝えたい。
開館の動機となったのは、まだ誰もやったことがないというほかに、数々のコレクションを多くの人に見てもらうことで、タクシーは文化資産ではないという考え方やレベルの低い職業という見方をなくすことにつながれば、という思いから。また、タクシー博物館がアミューズメントパークとなり、台湾の観光産業のブランド的価値を高める助けになればという期待をも込めているそう。
「見てもらいたいのは、車の性能や馬力などではなく、旅や街の風情とタクシーとの関係。タクシーは、旅のよきパートナーであるだけでなく、その時代の街の記憶の一片でもあるのです」と語ります。
各国から集められた、アンティークタクシーがズラリ。
展示物は、タクシーの実物からミニカーまで、大小さまざまの車両をはじめ、人力三輪車、バイク、ファッションアイテムから芸術品等々、タクシー関連のアイテムが2000点超。
一番人気は、9台のアンティーク車のコーナー。ここに並ぶ最も古い車体は、1957年製のドイツのメルセデス・ベンツ社の「メルセデス・ベンツ180」。ほかにも米国チェッカー社によるタクシー用自動車「チェッカー・マラソン」1972 年製、英国BMC社によるロンドンタクシー「オースチン・FX4」1967年製、日本からは昭和の名車・日産の「ダットサン ブルーバードP312」1962年製、香港の代表としては、2001年製のトヨタ車「クラウン コンフォート」が展示されています。これらはすべて、オーナーによって慎重に修理され、道路を走ることができるというから驚きです。
また、台湾からは、裕隆モータースが生産し、1970年代には台湾の国民車といわれた「日産サニー303」1988年製をフィーチャー。同じく台湾で生産された1980年製の「日産 セドリック803」は、屏東に住むオーナーが40年間乗り続けたという一台。長年の相棒がスクラップ工場ではなく、博物館に引き取られ、新たな役目を与えられたことにとても喜んでいるそう。
痛ましい飛行機事故に巻き込まれたタクシーも。
展示車のなかで唯一の故障車は、台湾のタクシー。これは2015年、トランスアジア航空の旅客機がエンジントラブルによって基隆河に墜落する直前、高速道路上で接触して大破した一台。後続車のドライブレコーダーに記録されたショッキングな映像が記憶にある人も多いことでしょう。
社名表示灯と料金メーター。タクシーの二大重要パーツを陳列。
このほか、コレクションエリアには、色も形もさまざまな日本のタクシーの社名表示灯や料金メーターがズラリ。最も古いものは、1920年のインドの機械式メーターで、合計70点の歴史あるパーツが並んでいます。「日本、イギリス、アメリカ、中国から集められたすぺての展示物には物語があり、とても意義深いものです」。
回転ミニカーを眺める子どもたちの様子はオーナーの癒しに。
回転寿司のごとく、レーンに載せられた53台のミニカーが回る設備は、特注で作られたオーナー肝入りの展示。回る車を子どもたちが目で追う姿を眺めることが、日々の癒しとなっているのだそう。
無料で遊べるバンパーカーに、キッズ大興奮!
入館チケットは、切り込みに沿ってくり抜いて折るとタクシーになるデザイン。また、白紙の組み立てキッドを無料で受け取ることができ、子どもたちは自由に彩色したタクシーを作ることができます。また、館内には、レール玩具、三輪車、バンパーカーがあり、キッズも飽きることなく楽しめます。
さらなるアミューズメントパーク化を目指して準備中。
一周年を迎えた際には、のべ3万人超が訪れたという人気スポットとなりましたが、かつては1日の収入が350元という日も…。情報を拡散してくれた来場者に感謝の意を示しながら、「もし私が作らなかったら、この世界のどこにもない博物館ですから」と、存在意義に自信を見せる李濟也氏。今後は、タクシーモチーフの回転木馬、観覧車を増設する計画も。
おわりに
入館チケットは、一般が200元(約720円)で、3歳以下のお子様は無料。また、勤務中のタクシー運転手さんも無料という粋な計らいも。料金には、ドリンクとバンパーカーの代金が含まれるほか、DIYも無料で体験可。さらに館内での買い物時に50元(約180円)引きになるサービスも付帯。オーナーの心意気が伝わる料金設定は感動的。唯一無二のタクシー博物館、車好きでなくとも必見のスポットといえそうです。
◆TAXI Museum 計程車博物館
住所:宜蘭縣蘇澳鎮中山路二段162巷2號
電話:+886-3-990-8088
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