瀬戸内海の東部に浮かぶ離島、淡路島。美しい海に囲まれた淡路島は、食の宝庫として知られ、観光スポットも充実。国内外からたくさんの観光客が訪れるリゾート地です。そんな淡路島には、1995年に発生した「阪神・淡路大震災」で震源地となり、大きな被害を受けた歴史があります。震源地となった淡路島の北部には、「北淡震災記念公園」があり、震災当時の脅威を今に伝える展示物が保存されています。淡路島旅行の際には、貴重な施設を訪れ、震災について改めて考えてみてはいかがでしょうか。
TEXT:小林優子
阪神・淡路大震災の3年後に創立した記念公園
兵庫県淡路島の西海岸沿いにある「北淡震災記念公園」。兵庫県南部を襲った、マグニチュード7.3、最大震度7の「阪神・淡路大震災」で発生した大災害の記録を残し、その爪痕を後世に伝えるために、震災から3年後の1998年、震源地に創立された記念公園です。
公園内には「野島断層保存館」があり、淡路島の西海岸沿いを約10㎞にわたって走る「野島断層」が、隆起した当時のままに保存・展示されています。観光のなかにも“学び”を得られるスポットとなっており、発生から25年以上経った今でも震災の脅威を目の当たりにして地震に備える大切さを実感できる施設です。
さらに、淡路島の美食が揃うレストランや物産館も併設。駐車場は、250台の車を収容できる広々としたスペースが用意され、観光バスも止められるので、家族や友人との旅行はもちろん、修学旅行や研修旅行などの団体旅行にも最適です。淡路島に行ったら、立ち寄りたいスポットですね。
ズレた断層を保存・展示する「野島断層保存館」
「野島断層保存館」の施設内に足を踏み入れると目を惹くのが、エントランスホールに展示されている、倒壊した国道43号高架橋の再現模型です。橋脚が激しく折れた様子が、震災当時の凄まじさを物語ります。
保存館で特に注目したいのが、阪神淡路大震災の震源となった野島断層の展示です。地震活動によって地表に出現し、横ズレを起こした野島断層がそのまま保存され、天然記念物にも指定されています。また、隆起した地層をじっくり観察できる点からも、貴重な展示物となっています。
さらに、阪神・淡路大震災での実際の揺れを体験できるコンテンツもあるので、挑戦してみてはいかがでしょうか。阪神淡路大震災と東日本大震災との揺れの違いも体験できます。現在、機械故障のため休止中なので、再開時期などは最新情報は公式サイトにて確認しましょう。
淡路のグルメが揃うレストランや物産館も人気
阪神・淡路大震災の史実に触れた後は、施設内のレストランで一休み。窓の外に広がる瀬戸内・播磨灘の海を眺めながら、淡路牛をはじめ、地元食材を使ったメニューを堪能できます。特に、淡路の西海岸を茜色に染める夕日は美しく、フォトジェニックなスポットとしても注目の絶景レストランです。
淡路島の特産品が並ぶ物産館もおすすめ。島内で唯一のクラフトビール「あわぢびーる」や多彩な海産物など、食材の宝庫として知られる淡路島ならではの特産品がバラエティ豊かに揃います。旅土産に最適な商品も充実し、大人気の「淡路玉ねぎスープ」などを購入して、友人や会社の同僚などに配っても喜ばれるかもしれませんね。
被災体験を伝える「震災の語りべ」
阪神・淡路大震災での実体験をもとに、その教訓を伝える団体客向けの「震災の語りべ」も実施されています。時間と共に記憶は薄れていくものの震災の教訓を風化させないために、語り継ぐことが重要だと考え、実際の声と共に資料や映像を交え、メンバーがそれぞれの立場から体験談を語りかけます。
語りべのメンバーは、当時の教師や消防団員、役場職員などさまざま。地域のコミュニケーションの大切さや地震に対する備え、命の大切さなどを実感できる内容となっており、修学旅行や研修旅行の団体客による利用も多く、学校行事の体験学習としても人気があります。
毎年、震災が起こった1月17日には追悼式が行われる「北淡震災記念公園」。淡路の歴史に触れ、震災の脅威と教訓を実感できる貴重な施設は、淡路島旅行の立ち寄りスポットとして、旅のコースに組み込むことをおすすめします。
◆北淡震災記念公園(ほくだんしんさいきねんこうえん)
住所:兵庫県淡路市小倉177番地
電話:0799-82-3020
アクセス/神戸淡路鳴門自動車道淡路ICから車で約5分
北淡震災記念公園(ほくだんしんさいきねんこうえん)