2019~2020年も続々オープン! 建築家・隈研吾さんの国内名建築 Part2その0

2019~2020年も続々オープン! 建築家・隈研吾さんの国内名建築 Part2

2020-06-26
20230 Point
© Masaki Hamada (kkpo)

世界的に有名な建築家・隈研吾さんが手掛けた名建築を巡る旅の第2弾です。200年以上も続く老舗企業のリノベーション事業や、約半世紀ぶりに誕生したJR山手線の新駅など、今回も隈さんのクリエイター魂が込められた建物をご紹介します。

Text:アントレース

200年の歴史を重厚感のあるデザインで再現「浜田醤油」(熊本)

200年の歴史を重厚感のあるデザインで再現「浜田醤油」(熊本)
阿蘇山系の豊かな水に恵まれた熊本県では古くから醤油製造が盛んで、県内には今も50を超える蔵元があります。なかでも屈指の歴史を誇る浜田醤油は1818年(文政元年)の創業。

2019年3月には創業200周年の記念事業のひとつとして、国の有形文化財に指定される同社の蔵を全面リニューアル。白塗りのナマコ壁を見事に復元した蔵は従来のショップに加え、カフェやキッチンアトリエなどの機能を持った醤油ミュージアムとして生まれ変わりました。
2019~2020年も続々オープン! 建築家・隈研吾さんの国内名建築 Part2その2
見どころは、屋根裏に張り巡らされた丸太や土壁を補強する竹小舞(たけこまい)を露出させたインテリア。もろみを熟成させる蔵をリノベーションした「うさぎカフェ」の店内など、使い込まれた壁や既存の部材を活かしながら200年の歴史を重厚感のあるデザインで再現しています。

また、キッチンアトリエでは醤油を使った料理教室やフラワーアレンジメントといったワークショップも定期的に開催されていて、地域の人たちのための交流の場としても活用されています。


◆浜田醤油株式会社
住所:熊本県熊本市西区小島6-9-1
営業時間:うさぎカフェ、蔵SHOP:11:00~17:00
定休日:月曜日、日曜日
※感染症予防対策のため、ワークショップは一時休止中。再開時期は公式サイトを要確認

“地産地消″が、商品にもデザインにも「koé donuts」(京都)

“地産地消″が、商品にもデザインにも「koé donuts」(京都)
© Masaki Hamada (kkpo)

2019年春、阪急電鉄の京都河原町駅からほど近くに誕生したドーナツ専門店。その日に使う分だけを自家製粉した有機小麦全粒粉やさとうきび100%で精製したグラニュー糖、府内から仕入れるフレッシュな生乳を使うなど、オーガニックや地産地消にこだわった商品が並びます。

歴史ある京都の街並みと呼応するよう、内装デザインを担当した隈研吾さんが選んだ素材は嵐山の竹。ドーナツと同様に、隈さんは内装にも地産地消のコンセプトを取り入れました。
2019~2020年も続々オープン! 建築家・隈研吾さんの国内名建築 Part2その4
© Masaki Hamada (kkpo)

店内に入るとまず目を引くのは、天井や壁に配された無数の竹籠です。伝統的な六つ編み技法を用いた竹籠を手掛けたのは、明治時代から代々続く竹細工師「竹定商店」。熟練の職人の手によって生まれた572個もの竹籠を特殊なジョイントパーツでつなぎ、斬新かつあたたかな意匠に仕上げました。

無機質なコンクリート打ちっぱなしの店内を優しく覆う竹の洞窟。「京都の繊細でたくましい台所文化が竹籠を通じて蘇る」。内装を手掛けた隈研吾さんはのちにこう語っています。


◆koé donuts
住所:京都府京都市中京区新京極通四条上ル中之町557
営業時間:8:00~20:00 ※現在、営業時間を変更。詳しくは公式サイトを要確認
定休日:不定休

折り紙や障子といった意匠で和の文化を感じられる「高輪ゲートウェイ駅」(東京・品川)

© East Japan Railway Company

JR山手線30番目の駅として、田町駅と品川駅の間に誕生した高輪ゲートウェイ駅。駅舎のデザインアーキテクトを隈研吾さんが担当しました。元々は東京オリンピック・パラリンピック2020の開催に合わせて開業を予定していた同駅。城南エリアに広がる約13haもの広大な土地は今後、海を臨む新たな東京の玄関口として整備されます。

デザイン・コンセプトは“地域に開かれた広場”。駅の上部を特殊な半透明のテフロン膜(ガラス繊維にフッ素樹脂をコーティングした膜材料)で覆い、周囲の街並みと一体になって見えるユニークな形状をしています。
© East Japan Railway Company

大きな膜屋根を支えるのは、鉄骨と杉の集成材で組み上げた折り紙状のフレームです。外からはテントのように見えたテフロン膜ですが、こうして内側から見ると木枠と白い幕でできた障子のよう。膜屋根を通して陽光がやわらかく駅構内を照らす様子は、従来の駅にはないあたたかみを感じることができます。

最新のテクノロジーに、折り紙や障子といった日本古来の文化を融合。和のエッセンスが随所に生かされた美しいデザインになっています。


◆高輪ゲートウェイ駅
住所:東京都港区港南2-10-145(一部10-247)

【番外編】「日本アロマ環境協会拠点施設『アロマテラス(仮称)』」(東京・渋谷)

最後は、2021年の秋以降にに竣工予定ということでまだ先ですが、完成したら渋谷区神宮前の新たな顔として注目されること間違いなしの建築物を番外編としてご紹介。植物由来の精油を用いたアロマテラピーの普及・研究などを行っている日本アロマ環境協会。国内で唯一の公益社団法人としてアロマテラピー検定をはじめ、アロマテラピーインストラクターやアロマセラピストといった各種資格の認定、さらにはスクールや各種イベント、セミナーなども運営しています。
同協会では現在、新拠点「アロマテラス(仮称)」建設のプランが進められていて、その建物を担当するのが隈研吾さん。環境に配慮した木造建築を予定していて、木材と緑が融合したナチュラルなデザインを予定しているそう。木を積み上げたトンネル状の内装で、身体と香りとが響き合う空間がコンセプトになっています。ここに協会事務所とイベントスペース、多目的に使えるユーティリティスペースも完備されます。


◆日本アロマ環境協会拠点施設
建設予定地:東京都渋谷区神宮前
竣工予定:2021年秋以降
Photo © J.C. Carbonne

◆隈研吾
1954年生まれ。東京大学建築学科大学院修了。2009年~2020年3月、東京大学教授。2020年4月より東京大学特別教授。コロンビア大学客員研究員を経て、1990年、隈研吾建築都市設計事務所を設立。これまで20カ国を超す国々で建築を設計し、国内外で様々な賞を受けている。その土地の環境、文化に溶け込む建築を目指し、ヒューマンスケールのやさしく、やわらかなデザインを提案している。また、コンクリートや鉄に代わる新しい素材の探求を通じて、工業化社会の後の建築のあり方を追求している。

おわりに

2回に分けてお届けした隈研吾さんの名建築特集はいかがでしたか? この記事がきっかけで隈さんに興味を持った方は、ぜひ「隈研吾建築都市設計事務所」のサイトをチェックしてみてください。これまでに隈さんが手掛けた建物がたくさん掲載されていますよ!

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