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<動画つき>元秘境ツアー添乗員・とまこが撮影! 恐竜の世界?! 巨岩の中のア…
<動画つき>元秘境ツアー添乗員・とまこが撮影! 恐竜の世界?! 巨岩の中のアボリジナル壁画がアートすぎる【連載第41回】
ワイルドに感性を揺さぶるすっごい場所が、オーストラリアの北部にあります。アボリジナルの聖地でもある巨岩ノーランジーロックは、外観は自然のアートとしてカッコよく! 中に入れば人々が描き続けてきた壁画の独創性に感心しまくり。訪れる人の感度を150%まで磨くでしょう。ぜひ実感していただきたいです。
ノーランジーロックの迫力がやばい!! ワイルドすぎて映画みたい
恐竜が出てきても納得しそうな、ガチガチにワイルドな世界でしょう! この時間が、東京でのせわしないそれと並行して進行しているなんて。普段都会で背筋を伸ばしてがんばるあなたには、いろんな意味で刺激的な事実のような気がします。
さて、この岩山は外観も圧倒的ですが、中も抜群にすごい。先住民アボリジナルが描いた芸術的な壁画がたくさんあるのですよ! しかも、描かれたのは約3万年前から1960年ごろまでって。途方も無く遠い昔から、つい最近まで?! 勢いに差はあれど、文化の持続力にも驚愕です。この中に入れば、まさにタイムスリップを味わえそうでしょう?
(18世紀にオーストラリアへの白人の入植が始まってから、アボリジナルの人口は虐殺や疫病で激減、70万人前後だった人口が7万人ほどになり、滅びた文化もある事実を付け加えます)
ノーランジーロックへはとにかくドライブ!! 走りまくった後のご対面が感動的すぎるから
レンタカーで行く場合、道のりは長いけど、道自体はとっても簡単なのでご安心を。ダーウィンから郊外を走り、西へとのびるアーネムハイウエイに入ったら、永遠にまっすぐ! 間違える余地などどこにもないただの一本道です。
ジャビルーに到着したら、次は南へと続くカカドゥハイウエイへ。南へ向かって走ると左手に、「Nourlangie Rock→」の看板が。そちらへ曲がってしばらく車を走らせると、ある地点で、どーんと構えた巨大な岩が現れます!
想像してみてください。ここに着くまで、未知すぎる風景と広さをつくづく体感しつつ、ひたすらまっすぐ走ってくるのです。非日常すぎて脳みそが軽くパニックを起こしているところに、旅特有のハイパーな高揚感と、疲労が加わって……きっとだいぶ強度のランナーズハイ状態(笑)。そんなあなたの目の前に、突然この超巨大なワイルド型の岩山が現れたら! 異次元感ありすぎて、恐竜の住処かと錯覚しちゃうかもしれませんね。
時空を超えて、冒険物語を紡いでいるかのような感覚を、存分に堪能してください。
いよいよ岩の中へ。服装と足元は?
さて、とてつもなくワイルドな岩山の観光ですが、どんな服装が適当でしょうか。
ここの観光は、壁画を見るために岩の周りや中を歩き回るので、動きやすい服装にしてください。ただ、一番奥にある壁画を観に行く(所用6時間)のでなければ、写真のような浮かれた動きやすさでも問題ありませんでした。
歩くのは舗装された道と、土の道、多少の傾斜や階段で、雨期だと水たまりもあります。わたしの足元はウォーターシューズで、滑らないし、濡れるのを気にせず歩けるのは快適でした。ちなみに観て撮って歩いた観光時間は1時間半ほど。
虫除けは絶対に忘れず吹きかけまくってくださいね! 日本から持って行くなら、スプレー缶タイプは飛行機に乗せられないので、ミストタイプを準備してください。現地で買うのもオススメです。
ノーランジーロックとアボリジナルの関係。壁画の役割は?
そもそも、このかっこいい岩山はアボリジナルにとって何の役割だったのでしょう? 彼らは狩猟採集民族で、定住することがありませんでした。なので、ここは住居ではなく、狩猟の際に利用する一時的な滞在場所であり、聖地だったそうです。その壁に絵を描いて、大切なことを伝えていたんですね。そう、アボリジナルの文化に文字は存在しないのです。
描かれているのは、彼らの天地創造に出てくる神や精霊、また人々の暮らしぶりやワラビーなど身近な動物たちです。動物の急所や可食部、薬になるものなど、生活の知恵が詰め込まれているそうですよ。
壁画がどうにもおもしろい。エキセントリックなタッチや独特ないわれにはまる?!
壁画はとっても独創的。エキセントリックと言いたくなる作品も多く、見飽きることがありません。特徴的なのは「レントゲン画法」。生きている動物を、その骨格や内臓とともに描いているんです、ある意味リアルでおもしろく、次の目的地がないなら、ずーっと観ていたいほど。
ここでは、有名どころの壁画をいくつかご紹介いたします。
最も有名な壁画はこちらかもしれません。いわれを聞くと、これもなかなかおもしろい。
真ん中で目立っているのがナモンジョクという人。妹との近親相姦の掟を破ってワニに変えられてしまったそうです。
その右の虫のようなのがナマルゴン(雷男)。この辺りの天地創造時物語に出てくる精霊で、カカドゥ観光をしているとよく耳にする名です。
ナモンジョクの左下がバラギンジで、ナマルゴンの妻。二人の子供はカカドゥに生息する赤いバッタなんですって。へ〜。
こっちはヤムイモで女性を叩いて食べてしまう精霊……ですよ!! ヤムイモって(笑)。アボリジナル文化の発想の豊かさと、独特な感性が浮き彫りになります。
こちらはワラビー。昔からよく食べられていたのですね。ワラビーにはこの岩の周りでも数匹出会いましたが、この絵をみてどう思っているのでしょう……(笑)。
おみやげを買うのが倍楽しい! ペインティングの実演にほれぼれ
アボリジナルの歴史文化にリアルに触れると、きっともっと知りたくなると思います。ぜひ、ワラジャン・アボリジナル・カルチャーセンターへどうぞ。無料の博物館は広くはないけど見応えバッチリ! 英語の説明を読まずとも、気の利いた展示がアボリジナルの歴史と文化を自然と把握させてくれます。
隣にはおみやげ屋さんもありますよ。アボリジナルアートを用いたTシャツやストールやバックなど、買い物の手が止まりません。
そしてスペシャルな体験も……
この方はアーティストのデイビットさん。おみやげ屋さんの一角で描いていました。壁画で見たタッチのモチーフを、丁寧に真剣に少しずつ少しずつ描き込んでいます。たまに顔をあげると、こんなにやわらかい笑顔。
手元を見てください。筆にしているのは樹皮です。端をほぐして使っているそうです。
顔料も自然のもの。黄色、赤、黒、白が基本とのこと。
お弟子さんたちは床で描いていましたよ。これからデイビットさんのような大物になっていかれるのでしょうね。とても内容の濃いカルチャーセンター、ぜひ寄ってみてください。
◆Two kilometres from Cooinda Lodge Kakadu, Kakadu National Park, Cooinda
(クーインダロッジの2km手前)
おわりに
冒険チックな世界を体感して、日本のそれとはかけ離れた感性を堪能して……自分の中で眠っていた何かが動き出した?! そんな気にすらさせられるノーランジーロック、深い思い出になると思います。ぜひ飛び込んでみてください。
◆とまこ
明治大学在学中からバックパッカーとしてデビューし、卒業後は秘境ツアーコンダクターに。現在は旅作家&おしゃれパッカーとして本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍中。著書に『離婚して、インド』(幻冬舎文庫)、『世界の国で美しくなる!』(幻冬舎)、『台湾で朝食を 日常よ、さようなら!』(メディアパル)など既刊12冊。2018年5月14日には奄美観光大使に就任。
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