世界最高峰のクルーズブランド「シルバーシー・クルーズ」のベトナムを周遊する豪華旅の体験レポート、最終回。乗船4日目はチャンメイに到着。クルーズのオプショナルツアーで、世界遺産となっているホイアンを訪ねることに。中国人街を中心に古い建物が残り、まるで時が止まったかのような風情ある一角が広がります。映画のセットのような情緒たっぷりの町で見たものとは?
Text&Photo:ダンジェロ・ミキ
チャンパ王国が栄えた港町ダナンからホイアンへ
↑チャンパ王国はヒンドゥー教だったのでシヴァ神やガネーシャが展示されています
ホイアンに向かう途中、港町ダナンに寄り、17世紀まで栄えたチャンパ王国時代の遺産を集めたチャム彫刻博物館に立ち寄りました。この博物館に収蔵されている多くは、世界遺産、ミーソン遺跡の発掘品。
ミーソン遺跡は、中部から中南部にかけて勢力を拡大していたチャム王国の聖地でした。ヒンドゥー教だったチャム王国の遺跡は、シヴァ神、ガネーシャ、ガルーダなどの彫刻がメインで、現在、仏教国であるベトナムとはまたひと味違う歴史を垣間見ることができます。
十数年前に訪れた時のダナンは、まだまだジャングルに覆われていたのですが、いまは、ホテルが立ち並ぶ一大リゾート地。様変わりに驚きつつ、30キロほど南下すると、フエ王朝に時代栄えたホイアンに到着です。
異国情緒漂う町、ホイアンの魅力とは
↑映画のセットのような情緒たっぷりのホイアン。グエンティミンガイ通りとチャンフー通りという日本のメインストリートを結ぶ「日本橋」
チャンパ王国時代からの古い港町で、16世紀にポルトガル人、オランダ人、中国人、日本人が来航し、国際貿易港として繁栄した町、ホイアン。江戸幕府との交易で大規模な日本人街も形成され、1593年に日本人が建設したと伝えられることから「日本橋(来遠橋)」と呼ばれる屋根付きの橋がかかっています。ホイアンのシンボルのこの橋が観光の起点となります。
↑細い通りが何本か路地でつながれ、ランタンがつりさげられたエキゾチックな通りが続きます
↑トゥポン川から小舟でホイアンを眺めた光景
趣ある歴史的建造物が多く残されており、見どころは、築200年の貿易商の古民家、馮興家 (フーンフンの家)、華僑の集会所だった福建会館や日本との交易の貴重な資料が残る貿易陶磁博物館など。木造建築の古い平屋、京都を思わせる路地、色とりどりのランタンが淡く落とす光と影……。小舟に乗ってトゥポン川からホイアンの旧市街を眺めると、古色蒼然としたエキゾチックな街並みが見渡せます。
西洋人の観光客も多く、古民家を改築したモダンなカフェやお土産屋さんが軒を連ねるなか、傘をかぶり天秤棒をかついでトロピカルフルーツを売る姿やのんびり走る三輪自転車のシクロが、ベトナムの歴史地区ならではの風情を醸し出しています。
船に戻り、部屋のドアを開けるとブルガリの香りがいっぱいに広がっていました。バスタブにバブルバスが用意され、トロピカルフラワーで飾られていたのです。そんなサプライズも楽しい、至れり尽くせりのサービスで幸せな気分に浸ることができます。
夜はオブザベーションデッキでカクテルパーティです。何度も乗船しているゲストも多く、8カ月も船での滞在を楽しんでいるフランス人夫妻もいました。初めて会う人たちともたちまち打ち解けて話がはずみます。そんなところもクルーズ旅ならではの醍醐味。最後の夜は、パーティで知り合ったゲストに誘われてカジノへ顔を出してみました。素人でも楽しめるルーレットに挑戦。ルーレットのディーラーと駆け引きをしながら、ビギナーズラック。クルーズならではの華やかなひとときに夢心地でした。