創業より50年以上続く「大和路遊心菓 吉方庵」は、丹精込めて職人が作る上品な味わいの和菓子を揃え、奈良県内に3店舗を構えます。本店のある桜井市は奈良盆地に位置し、日本の古代国家である「ヤマト」成立の舞台にもなった歴史深い地域です。そうした古より伝わる郷土の文化に想いを寄せて作られた「大和路遊心菓 吉方庵」の和菓子は趣深いものがあり、ぜひ味わっていただきたい逸品です。
Text:小林優子
人生の節目を彩る伝統の和菓子
奈良県中部の桜井に本店を構える、昭和39(1964)年創業の和菓子店「大和路遊心菓 吉方庵」。店がある奈良県・桜井の豊かな歴史や文化、山里が広がる風土を慈しみ、「郷土の物語」を美味しいお菓子によって表現するのが「吉方庵」の信条です。桜井には日本最古の一つといわれる大神神社があり、古道にはこの地が詠まれた万葉集の歌碑が立ち、古代にゆかりある数々の名所が歴史の深さを物語っています。
こちらの店では50年以上にわたり、熟練の職人が作る和菓子とともに日本の伝統文化を継承することを大切にしてきました。1歳になる初めての誕生日に健やかな成長を願い、赤ちゃんに背負わせる一升誕生餅をはじめ、人生の大切な節目を彩るお菓子も丹精込めて作られています。
もちろん贈答品としても喜ばれるような上品な和菓子の種類も豊富です。日本最古の柑橘とされる「大和橘(やまとたちばな)」を使ったお菓子「すずなり」は、製造が追いつかなくなるほど大好評の逸品です。
手間暇かけて作る職人技が光る「しずる餡」
「吉方庵」のお菓子づくりにおいて徹底してこだわっているのが、和菓子の要となる餡の味わいです。長年、腕を磨いてきた専任の職人にしか作れない、つややかでみずみずしい独自製法の餡は「しづる餡」と呼ばれ、100%北海道産を使った大粒小豆ならではの豊かな風味と上品な甘さが口に広がります。
「しづる餡」づくりは、全ての工程に少なくとも5時間を要する手間暇かけた作業。熟練した職人の技でじっくり炊き上げ、一晩寝かせて餡を完成させるため、一度にたくさんの量を作ることはできません。どら焼の「三山っ子」は、こうして丁寧に作られた餡とふっくらした生地が見事に調和した、ぜひ味わってほしいお菓子。公式オンラインショップでも販売しているので、チェックしてみてください。
木のぬくもり溢れる「桜井本店」
「吉方庵」は、「桜井本店」のほか橿原(かしはら)市の「橿原店」、北葛城郡広陵町の「真美ケ丘店」と、奈良県内に3店舗を構える和菓子店です。「桜井本店」は、三輪山の裾野にあり、日本最古の道といわれる山の辺の道沿いに立ちます。そんな古を偲ぶ街並みにふさわしい外観は、木製格子が映える落ち着いた和のたたずまい。店内の壁にも格子があしらわれ、木のぬくもりを感じさせます。製材業が盛んで、‟木の街“と呼ばれる桜井市ならではの装飾がほどこされた、道行く人々を惹きつける意匠です。
茶房も併設されており、希少な国産本わらび粉を手作業で練り上げたわらび餅をはじめ、和菓子を中心にパフェや白玉クリームあんみつなどの茶房でしか味わえない限定メニューも堪能できます。焼きみたらし団子を注文し、卓上の火鉢を使って自分で団子を焼き上げ、特製ダレや餡、きなこをつけて、あつあつの状態でいただくのも楽しいひとときです。
「真美ケ丘店」の茶房でほっとひと息
「真美ケ丘店」は、北葛城郡の南東部にある広陵町の一画に凛とたたずみます。木を多用した広々とした店内には、本店と同様、日本の伝統や文化を大切にした「吉方庵」でしか味わえない和菓子を揃え、ショーケースには四季折々の風情を感じさせる品々も並びます。
併設の茶房に立ち寄り、和の趣がある坪庭を眺めながら、職人が丹精込めて作る繊細な味わいの和菓子を楽しむひとときもまた、格別です。
「大和路遊心菓 吉方庵」のお菓子は、日常の茶菓子としてはもちろん、お祝いや手土産として、贈り物にも喜ばれる逸品ばかり。「吉方庵」ならではのこだわりのお菓子を堪能し、歴史や文化が息づく奈良の古に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
◆大和路遊心菓 吉方庵(ヤマトジユウシンカ キッポウアン)
住所:奈良県桜井市三輪642-5
TEL:0744-43-5328
営業時間:9:00~19:00※茶房は10:00~17:00(LO16:30)
定休日:1月1日※1月2日~4日は時短営業の可能性あり
アクセス:[電車]JR大和路線、近畿日本鉄道近鉄大阪線桜井駅より徒歩約7分
大和路遊心菓 吉方庵(ヤマトジユウシンカ キッポウアン)