岡山県は倉敷市にあるお寺「持宝院(じほういん)」。奈良時代に創建されたといわれる古寺で、ジーズンショップが軒を連ねる商店街「児島ジーンズストリート」や重要文化財に指定されている「旧野﨑家住宅」が近いことから、境内には地元の参拝者だけでなく観光客にも人気のスポットです。
江戸時代初期に建てられた寺院や京都を拠点に活動する作庭家の北山安夫さんが手がけた庭園など、何をせずとも心が洗われる、心地のいい空気が流れるお寺の見どころをご紹介します。
古い歴史を持つお寺
今から遡ること1300年ほど前の奈良時代。高僧のひとりであった行信僧都が、岡山の倉敷市児島味野に創建したといわれるのが「持宝院」です。その当時、瀬戸内の重要な地域だった児島味野は佛教を信仰する拠点にもなっていたそう。
現在は児島四国八十八ヶ所霊場の第26番であり、現実の痛み、苦しみから救ってくれる薬師如来がご本尊に。境内には、国内外問わず活躍する名匠・北山安夫さんが作庭した庭が5つあり、どれも引き込まれてしまうほど美しく仕上げられています。
お寺からすぐの場所には、全国のファッション通を魅了し続けるジーンズストリートがあり、お買い物の帰りに休憩をかねて立ち寄る人も多いのだとか。参拝料などもないので、気軽に足を運べます。
作庭家の北山安夫さんが手がけた庭園
境内の見どころのひとつが庭園です。非公開のものを合わせると全部で5つあり、その中で一般公開されているのが3つ。どれも作庭家として名高い北山安夫さんが造ったものです。
ひとつめは、白砂の上に大小の岩を配置し大海を泳ぐ親子の亀を表現した「親子亀」。ふたつめは、形はもちろん大きさも違った石を組み合わせた「石庭」。園芸に詳しい人はもちろん、そうでない人をも魅了する人気の庭になっています。
心身共に癒される池泉回遊式庭園
3つめは、穏やかな雰囲気が流れる「池泉回遊式庭園」です。池のそばには腰を据えて鑑賞ができるように、とベンチが設置されています。手入れの行き届いた庭園は、まるで極楽浄土のよう。四季を感じながら、ゆったりと流れる時間を過ごすのは贅沢そのものです。
庭園と合わせて見ておきたい文化財
本堂や稲荷堂、吒枳尼(だきに)天尊など、境内には庭園に加えて歴史的にも価値がある文化財も多くあります。
白壁の蔵屋敷、なまこ壁、柳並木といった県民や観光客にも愛されている倉敷美観地区や日本で初となる大原美術館、景勝地として知られる鷲羽山と、倉敷の観光名所と合わせてぜひ足を運んでいただきたいお寺です。
◆持宝院(じほういん)
住所:岡山県倉敷市児島味野2丁目5-8
電話番号:086-472-2240
アクセス/車:瀬戸中央自動車道児島ICより約6分、電車:JR本四備讃線児島駅より徒歩約15分
持宝院